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将棋ソフトの進歩と将棋界(2) [将棋]

 さてこの第2回電王戦の五番勝負が行われているさなか、第71期将棋名人戦七番勝負がスタートした。
森内名人対羽生三冠の、もはや宿命の対決といってもいいぐらいの注目カードである。
 結果は森内名人が4勝1敗で防衛した。この時点で通算タイトル保持83期をほこる最強棋士の前にまたもや名人戦という大舞台で同い年のライバルは立ちはだかったのであった。決して羽生の棋力が衰えたというわけではなく、名人戦後立て続けに行われた棋聖戦、王位戦、王座戦で羽生はタイトルの防衛に成功し、通算タイトルを86期にまで伸ばし、三冠を維持した。やはり森内の名人戦にかける意気込みが凄いとしか言いようがない。

 さて森内名人が防衛を決めた第5局。相矢倉戦で後手の森内が指した62手目の3七銀が話題となった。
 この手はプロの公式戦では前例がなく、指された時点で控え室等で検討していた棋士たちは名人が用意した新手だと思っていたことだろう。ところがこの手は既に大勢の人たちが見ていた場において指されていた手であった。
 指したのは第2回電王戦に出場して佐藤慎一四段に勝った将棋ソフトponanzaである。
 ponanzaは電王戦が終わった直後の今年の5月に二週間ほど将棋倶楽部24のレーティング戦を指していた。たぶん開発の参考にするためだろう。そしてこの時期に指された将棋の中でponanzaは前例のなかった3七銀を指したということだ。(ちなみにponanzaはこの時期に24のレーティング記録を3453まで更新した)
 森内名人はこの手がこの局面において有力な一手だと判断し、自分なりにその後の展開を考えた上で、公式戦では前例のなかった一手を羽生挑戦者相手に指したのである。
 
 このことから見てもわかるように最新のレベルに達した将棋ソフトは、単に終盤で詰みがあるかないかの判断のみならず、中盤においてもトッププロが参考にできるような、前例のない好手を指せるレベルになっているということなのだ。
(続きはまた次回に)
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