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将棋ソフトの進歩と将棋界(3) [将棋]

 なお今回の私の一連の文面のタイトルに「将棋ソフトの進歩」とつけてはいるが、当然のことながらアプリケーションソフトを作成する技術が進歩しただけで、プロ棋士に勝てるようなソフトが誕生してきたわけではない。ソフトのプログラムを処理するハードウェアの進歩も著しいからこそ、コンピュータ将棋のレベルも21世紀になって飛躍的に向上したのである。
 かってチェスの世界チャンピオンカスパロフがIBMの作成したコンピュータディープ・ブルーに負け越したのが1996年のことだった。このディープ・ブルーはチェスのチャンピオンに勝つことを目的に作られたスーパーコンピュータであり、その大掛かりさは三浦九段に勝ったGPS将棋によく似ていると思う。
 そしてそれから7年後の2003年には、やはりその時もまだ世界ランク一位だったカスパロフとチェスソフトが対戦したが、この時は既に汎用PC一台で対戦しており2度に渡る対戦はそれぞれ1勝1敗4分け、1勝1敗2分けと互角の勝負であった。この時点ではもう、わざわざディープブルーのようなチェス専用のマシンを用意しなくてもチェスのトッププレーヤーと互角に戦えるレベルに到達していたわけである。今からちょうど10年前のことである。

 将棋は理論上はチェスより複雑にできている。チェスの盤面状態が10の50乗なのに対して将棋は10の71乗と見積もられている。さらに考えられうる指し手の分岐はチェスが10の123乗なのに対し将棋は10の226乗であるとされている。これは将棋のほうが駒の種類が多い(チェスが6種類なのに対し将棋は8種類)、将棋は玉と金以外は敵陣に入ると成って動きが変わる(しかも必ず成るとは限らない)、それとなんといっても取った駒を使うことができるというルールによってもたらされている複雑性である。
 
 ただそうは言っても、だ。
 例えば地球上で一番大きく見える恒星は太陽であるが、実際太陽の半径は地球の110倍あるらしい。 地上から見る限りとてもそうは見えないがそれだけ地球と太陽の距離が離れているということに過ぎない。
 さらに銀河系レベルで言えば太陽よりも大きな恒星の集団が多数存在しているということだが、そんなことは我々の肉眼はおろか天体望遠鏡で見たとしても実感することはできそうもない。

 2005年に保木邦仁氏によって生み出された将棋ソフトボナンザは、考えられうるすべての局面を読む全幅探索の手法の方が結果的に効率が良いことを証明した。それ以降多くの将棋ソフトは皆この全幅探索で先読みを行っている。最新のボナンザはPC一台で一秒に最大1800万通りの局面を探索するそうだ。
 それだけの速度で読むことができる機械にとっては、もはや10の123乗も226乗も、それほど大差がないような気がしてならないのだ。いわば「五十歩百歩」ということになってしまいそうである。
 天体間の距離を光年という単位で表すけれども、読みのスピードだけに限定すれば、プロ棋士の頭脳をもってしても今のソフトに比べれば、自転車の速度と光の速度ぐらいの差がありそうな気がするのだ。
(続きはまた次回に)
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