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将棋ソフトの進歩と将棋界(4) [将棋]

さて現役A級棋士の三浦九段(電王戦の対局当時は八段)がいいところなく負けたのだから、今度はプロ棋士側も五人でやるのだからかなり強いメンバーを出してリベンジマッチを見せてくれるだろうなあ、と期待していたら、どうもそういう話にはならなかったようだ。今年の10月半ばに第3回電王戦を行うという発表があったのだが、プロ側が選出した棋士5名は、屋敷九段、森下九段、豊島七段、佐藤紳哉六段、菅井五段というメンバーであった。
 この5人のメンバーを見て率直に思ったことは、確かに現在順位戦のB1で単独一位の成績で来季A級昇級を決めそうな勢いの豊島七段と、やはり若手で高勝率を上げている菅井五段の二人を入れてきたのは前回よりは本気だよ、という感じを受けるのではあるが・・・それ以外は前回と変わり映えがしない印象を受けた。屋敷九段はA級棋士で元タイトル保持者の実力者であるが位置づけ的には三浦九段と同じだと見れるし、森下九段は元A級棋士でかってはトップクラスとしのぎを削っていた実力者、ということで塚田九段と同じ位置、そして佐藤紳哉六段は・・・まあエンターテイメントとしては魅力たっぷりの人気棋士であることは認めるが、純粋に棋力だけを見ると長いことC級2組に在籍している棋士であるから、前回の佐藤慎一四段と同じ位置づけである。まあ前回よりは少しレベルアップしてはいるのは事実であろう。
 一方のコンピュータ側には出場する際に条件がついた。対戦の時に使うハードをどのソフトも統一のPCを使う、ということになったのである。(PCは主催者のドワンゴ側が用意する)
 これにより前回出場したGPS将棋とPuella αは複数のPCをクラスタ処理させて対局していたので、今回は参加しないことになったようだ。
 この規定に対し主催社ドワンゴの川上会長は「今回は純粋にソフトの棋力で戦って欲しいという意図でPCを統一しました」とコメントしていたがその際に例の口調で「まあーあのー、前回はあまりにもコンピュータに有利すぎたので今回はー」というような話をしていた。
 
 どうもニコニコ生放送の電王戦のPVを以前から見ていて気になることがあった。それはやたらと「人類対コンピュータ」という図式を強調していることである。私はてっきりあれは、放送を面白くするための演出であると思いながら見ていたのだが、どうやら結構本気でそう思っている人たちが多いということに気づかされた。もちろん実際に正式な対局として観客の前で将棋を指すわけであるから、棋士として最善を尽くすのは当然であるが、それを通り越して「今回は絶対に人間側が勝たねばならぬ」という雰囲気が作り上げられているような気がするのだ。実際プロ棋士の中にも「コンピュータになんか絶対負けたくない!今まで必死になって取り組んできたことを全否定されてしまうようなもんだし」と本気で思っている方が結構いそうだと、ネットで色々と得た情報から感じた次第である。
 
 だがそもそもそういった考えにとらわれること自体が、くだらない幻想なのではないか、と私は気づかされたのである。
(続きはまた次回に)
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